くまもり東京シンポジウムに参加した。
今回のテーマは「奥山の生物多様性をとりもどそう」。
先ず、ツキノワグマが2004年に2,000頭以上、
2006年に何と5000頭も捕殺されたというショッキングな事実を知らされた。
2004年、2006年とも森の凶作が原因でクマが里山に降りて来てしまったためだ。
凶作の原因は、酸性雨や温暖化の問題もあるが、主たる原因は、放置されている
人工林(スギ林)の崩壊が進んでいるためと考えられる。
日本の林業衰退とともに放置され、荒廃する人工林。
無策の国を尻目に、ボランティアが人工林を自然林に戻そうとしている。
そこで取られているのが、巻き枯らし間伐という方法。
スギの木の樹皮を根元近くから剥ぐと、水を吸い上げなくなって自然に枯れるという。
間引くことで、光が入り下草が茂る。下草が茂ると小動物が戻って来る。
チェーン・ソーも必要なく、素人でも出来る作業だ。
一見、森を救う素晴らしい方法に思える。
しかし、パネル・ディスカッションでは、一人のパネリストから
「何か悪者のようにされている針葉樹だが、針葉樹だって生命には違いない。
それを間引く時には、供養する気持ちが必要ではないか」という指摘があった。
さんざん木材としての利用を見込んで植えられた針葉樹林が、
利用価値がなくなったからと放置されている。
そして、自分の国の森林は手つかずだが、自分たちの生活の便利さを支えているのは、
海外の森から伐採されて来た木材によってだということに
ほとんどの日本人の関心は向いていない。
自然をいじることは一筋縄ではいかない。
ライフスタイルそのものを見直すことも含めて、
根本的なところから考え直さないと問題は解決しない。
この問題に対する取り組み方にこそ「多様性」が求められているのだと思った。
日本熊森協会
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