自然からのインスピレーションは無限大。
ラリックのガラス工芸は、そんなインスピレーションに満ちたアートだ。
美術館の中庭に出、池の畔に目をやると、
ウグイスのような小鳥が地面に身体を横たえていた。
落ち葉や小石に囲まれ、葉っぱを枕にして眠っているように見える。
一枚の絵のように美しい。
その横顔をじっと見ていた。恐らく数日前までは、
飛び回りその小さなイノチを燃やしていたのだろう。
それが、今はこの足下に美しい身体を横たえ、こと切れている。
イノチの儚さ、でも精一杯生きたであろう生涯。言い知れぬ感動を覚える。
自然からのインスピレーションに勝るものはない。
そんな思いで美術館に戻ると、さっきまで感動していたラリックも退屈に思えた。
しかし、ツラツラ眺めるうち、再びラリックの凄さが見えて来た。
自然を観察し、自然から触発されなければ、やはりこういう作品は作れない。
単なる意匠、デザインを越えた何か。
ラリックも間違いなく、自然の息吹きから様々な感動を得ていた
ということが伝わって来る。